活用事例

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鉄兜の非破壊検査
戦国時代末期の製造工法を探る

撮影装置:phoenix v│tome│x m300
試料寸法:220 × 244 × 210 mm
試料材質:鉄(塗装面あり)

スキャン時間:25 分以内
ボクセルサイズ:33μm

鉄兜の非破壊検査

Issue

鉄兜の接合部や層構造を確認したい

16世紀末から17世紀初め頃に日本で製造されたと思われる鉄製の防具、桃形兜(ももなりかぶと)の測定依頼を頂きました。兜は複数の鉄板を組み合わせて製造されていたため、それぞれの鉄板の接合部や素材断面の状態を調査したいというご依頼でした。鉄兜の表面には塗装が施してあり、外観だけで製造工法を調べることは困難でした。

Point 01

ミリフォーカスCTで全体を捉える

検査工程を短縮

試料の素材は、比較的X線が透過しづらい鉄であったため、まずは最も出力の高いミリフォーカスCTを使用してスキャンを行いました。画像のとおりノイズの少ない良好な撮像が実現でき、鉄兜の塗装の下に隠れていた接合部の位置や鋲の配置を確認することができました。

しかし、試料全体を捉えるために広い画角で撮像したため、解像度が足りず接合部の詳細な構造を確認することはできませんでした。

Point 02

マイクロフォーカスCTで関心領域を拡大観察

広範囲の製品形状を短時間で取得

より局所的な構造を捉えるためには、試料をX線管に近づけてスキャンを行う必要があります。今回はさらに詳細に対象部位を観察するため、ミリフォーカスCTよりも解像度の高いマイクロフォーカスCTを使用しました。

Point 03

接合部が沈頭鋲式の鋲留め構造になっていることを確認

広範囲の製品形状を短時間で取得

マイクロフォーカスCTのスキャンデータを、解析ソフトウェア上で拡大して観察したところ、2枚の鉄板を貫くように打ち込まれた鋲の詳細な形状や打ち込み技法を確認することができました。

  • ・当時の兜の鋲は現代工業で使われる円柱状の鋲とは異なり、断面が四角形に近い角柱状の鋲が使用されている
  • ・接合部の鉄板ごと鋲頭を沈み込ませて鋲留め表面が平滑になるよう工夫されており、航空機の外装に使用される沈頭鋲と同様の技法で接合されている
  • ・鉄板の厚さは約1mm

塗装に隠れた接合部の位置や鋲の断面形状は肉眼では観察不可能なためこれまであまり調査が進んでいませんでしたが、CTスキャンにより実物を傷つけずに内部構造を観察することができ、当時の技法に関する新たな知見を得ることができました。

サンプル撮像画像

クリックすると拡大して閲覧できます

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