活用事例

活用事例

ヴァイオリンの
非破壊検査

撮影装置:phoenix v|tome|x m300

撮影対象: ヴァイオリン本体・弓
撮影時間:各1時間以内

本の中の空洞

Issue

表板の修復箇所を確認したい

イタリアのヴァイオリン製作家ジョヴァンニ・フランチェスコ・プレッセンダによって1834年に作られたヴァイオリンの測定依頼を頂きました。補修箇所の状態を断面から確認することが目的で、楽器本体への影響を考慮しX線出力を極力下げてスキャンしてほしいとのご依頼でした。

安価で軽く、薄いフィルム状にして曲面にも貼れるー。そんな次世代のエネルギー「ペロブスカイト型太陽電池」を開発した化学者の宮坂力さん。ノーベル賞候補との呼び声も高い宮坂さんは、桐蔭横浜大学特任教授として研究を続ける傍ら、趣味のヴァイオリンを大学生の頃から続けています。演奏だけでなく、論文を弦楽器専門誌へ寄稿するなど積極的に音楽活動を行なう宮坂さんへ「CTによる楽器検査」についてお話を伺いました。

永井様と営業・桂川

ー ヴァイオリンをCT検査できることを、どういった経緯でお知りになられたのでしょうか?

私が寄稿している雑誌が時折、楽器の構造や著名な演奏家の特集を組むことがありまして、その中でヴァイオリンのCT画像を見たのがきっかけです。自分のヴァイオリンを修理するかの判断に迷っていたタイミングだったので、非接触で内部を観察できる産業用CTに強い興味を持ちました。

宮坂さんの論文も掲載されたイギリスの弦楽器専門誌「The Strad」

宮坂さんの論文も掲載されたイギリスの弦楽器専門誌「The Strad」

ー 今回はCTを撮ることで、具体的にどのような結果を期待されていましたか?

このヴァイオリンは製作から200年ほど経っていまして、実は表板の一部に割れがあって修理の跡があるんです。当時の職人が、裏側から木のパッチを貼って補修しているのですが、そのパッチが劣化していないか、接合している膠が剥がれてきていないか、CTでその辺りを確認したくて御社へ依頼させて頂きました。

箱に入れ固定した状態でスキャン

箱に入れ固定した状態でスキャン

ー CTスキャンの結果、膠は剥がれておらず、パッチもきれいな状態であることが確認できました。

ありがとうございます。結果だけでなく撮影データの精細さにも非常に満足しています。もしオーバーホールをする場合は表板を開く必要があり、修理期間が半年、費用も数百万円かかります。何よりパッチの交換はいったん古いものを削って張りなおす作業になるため、本体へのリスクを考えると極力避けたいところなのです。これだけ効率よく、短い時間で複雑なところが見えるというのは、これから楽器作りの分野でも有効な手段になると思います。

半月状に補修された表板の断面図

半月状に補修された表板の断面図

ー 修理面だけでなく、歴史的価値の保護という観点でも期待できそうですね。

日本で楽器の修理をされている所は沢山あります。私が所属している楽団でも、とても高価な楽器を使っている人もいる。演奏家は楽器のキズに気がついた時、それがどこまで広がっているのか気になってしまうものです。そういう時に、こういったCT検査の技術があることを多くの方に知ってほしいし、私も演奏家の一人として伝え広めていければと考えています。

弓の状態もスキャンで確認

弓の状態もスキャンで確認

サンプル撮像画像

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鉄兜の非破壊検査 鉄兜の非破壊検査 鉄兜の非破壊検査 鉄兜の非破壊検査 鉄兜の非破壊検査 鉄兜の非破壊検査 鉄兜の非破壊検査 鉄兜の非破壊検査 鉄兜の非破壊検査
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